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スピントロニクス半導体技術で半導体業界の Game Changerを目指すパワースピン株式会社は、ジャフコ グループ、三菱UFJキャピタル、スパークス・アセット・マネジメント、JIC ベンチャー・グロース・インベストメンツから総額25億円の資金調達を実施。

スピントロニクス半導体技術を用いて、AI/車載向けプロセッサや高速メモリ用の回路設計や試作サービス及びIPライセンス事業等を行うパワースピン株式会社(本社:宮城県青葉区、共同代表取締役:福田 悦生、遠藤 哲郎)は、日本を代表するベンチャーキャピタルであるジャフコ グループ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:三好 啓介)をリードインベスターとして、三菱UFJキャピタル株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:葛西 洋一)とスパークス・アセット・マネジメント株式会社(東京都港区、代表取締役社長:阿部 修平)とJICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社(東京都港区、代表取締役社長:鑓水 英樹)を引受先とする第三者割当増資により、新たに総額25億円の資金調達を実施しました。

今回の資金調達はSeries-A及びSeries-Bに次いで3回目(Series-C)の増資となり、当社の累計資金調達額は創業5年で、計約35億5千5百万円となります。

1. 本第三者割当の目的
今回の調達資金は、グローバルでの人材採用強化、CADシステム投資及び海外拠点展開等に充当致します。特に、人材採用強化では、SoC(CPU/MCU/FPGA/GPUからAIアプリケーションプロセッサ等)やメモリ(SRAM/DRAM/NAND等)など半導体集積回路のチップ設計及び各種回路IP設計に従事した経験のある国内外の優秀な技術者の獲得を目指します。

2. 本第三者割当の内容
払込金額の総額
2,500,000,000円
割当先
ジャフコSV6投資事業有限責任組合
ジャフコSV6-S投資事業有限責任組合
三菱UFJキャピタル8号投資事業有限責任組合
未来創生3号投資事業有限責任組合(スパークス)
JICベンチャー・グロース・ファンド2号投資事業有限責任組合
増資後の資本金
1,340,000,000円

3. パワースピン株式会社について
当社は、東北大学が有する世界最先端の研究成果であるスピントロニクス半導体技術とパワーエレクトロニクス技術の社会実装の加速を目的として2018年に起業致しました。
2050年までに政府が目指している、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルの実現にあたり、情報化社会の進展(取り扱いデータ量の増大)に伴い電力消費や発熱は大きな課題となっています。当社は、この課題に対して従来の半導体の消費電力を大幅に削減可能なスピントロニクス半導体技術・パワーエレクトロニクス技術をキーテクノロジーとして挑んで参ります。

4. ビジネスモデルについて
当社は、以下のビジネスモデルで事業を進めて参ります。

図1:当社のビジネスモデル

  1. 回路設計サービス、試作サービス
    CMOS回路にスピントロニクス素子(STT/SOT-MRAM)を搭載した回路のLSIデザイン、LSI試作及び評価解析サービスを提供します。
  2. コンサルティングサービス
    スピントロ二クス及び集積回路技術に関する基礎技術から設計、試作、量産に至る全てのバリューチェーンに関するコンサルティングサービスを提供します
  3. IPの販売・ライセンシングサービス
    当社が保有する材料・素子・回路・システムに至る基本及び応用特許ライセンス(350件超) を利用した知財・各種IPを提供します。

図2:スピントロニクス半導体技術概要図

5. 期待される応用分野
エネルギー効率の高いエッジAIコンピューティングやデータセンター等
今後のエッジAIコンピューティングや大規模AI処理を含むデータセンターは、更に大量のデータをもっと高速に演算するので、消費電力が大きくなる問題が指摘されています。カーボンニュートラルの社会実現に向けて、革新的に電力効率の高いエッジAIデバイスやデータセンター等が必要とされ、スピントロニクス半導体に大きな期待が寄せられています。

次世代モビリティの実現
自動運転、EV化を見据えた次世代モビリティに搭載する半導体(SoCからメモリ等)には、省電力化に加え、レイテンシー向上、バンド幅向上、大容量化、耐環境性ーより高温での動作保証Grade1(-40-120C)が不可欠です。この次世代モビリティ向け半導体性能をeFlash等の既存技術で実現する事は難しい状況です。そのため、低消費電力化、微細化及び耐環境性等に優れたスピントロニクス半導体に大きな期待が寄せられています。

宇宙・成層圏を活用した次世代通信インフラ・高度情報サービス
スピントロニクス半導体は、本来有する不揮発性と高速性に加えて、電荷に代わり、磁石(スピンの向き)で“0” 、“1”を記憶するため、放射線など高エネルギー粒子によるソフトエラー耐性が高く、また高温での安定動作性に優れているため、宇宙空間や成層圏でも高い信頼性を確保できます。今後需要が拡大するHAPS(高高度プラットフォーム)やLEO(低軌道衛星)通信分野などへの応用が期待されています。

【用語の説明】
■スピントロニクス半導体技術:電子の持つ「電荷」情報とともに「スピン」情報の両方を活用して情報の記憶・演算を行う半導体技術の要です。最近では、STT-MRAMと呼ばれる低消費電力メモリ応用に加えて、消費電力の削減が求められているプロセッサ分野での活用が期待されています。
■パワーエレクトロニクス技術:電気自動車・鉄道・家電製品から、データセンターや都市の受電設備などに電気エネルギーを適切な形態(電圧、交流・直流など)に電力を変換し供給するための技術です。
■SoC:System on a chip(システム・オン・チップ)の略称で、チップの中に、様々な機能回路・素子を集積して、一つの統合されたシステムを組み込んでいる半導体集積回路のことです。
■FPGA:Field Programmable Gate Arrayの略称で、出荷後にユーザの手元でデジタル回路(ロジック回路)の書き換えを行うことができる集積回路のことです。
■GPU:Graphics Processing Unitの略で、3Dグラフィックスを描画する際に必要な計算処理を行う半導体デバイスのことです。
■MCU:Micro Controller Unitの略で、CPU(Central Processing Unit)を搭載した演算処理を行う半導体デバイスです。MCUは、汎用向け用途に広く使われています。