低消費電力かつ高速動作可能なスピントロニクス省電力半導体技術は、現在世界の潮流技術となりつつあります。スピントロニクス省電力半導体によって、従来のシリコン半導体技術と比較して同等の性能を維持しながら応用分野によって、その消費電力を1/10~1/100~1/1000に削減することが可能です。加えて、スピントロニクス省電力半導体には、AI処理との高い親和性、耐環境性能、高エネルギー粒子に対する高い耐性など様々な特徴があります。
MRAMの市場戦略
ロジック市場からスタートし、その後スタンドアロンメモリ市場にも展開
- 今後
- 大容量キャッシュ(LLC)やエンベデッド・フラッシュメモリーの置き換え
- 将来
- 高速キャッシュメモリの置き換え(AIプロセッサなどのHPC向け)
- 将来
- 更なる高速キャッシュ&大容量DRAMの置き換え
MRAMの市場戦略
次世代モビリティの実現
自動運転、EV化を見据えた次世代モビリティに搭載する半導体には、省電力化に加え、低レイテンシー、バンド幅向上、大容量化、耐環境性(高温での安定動作等)が不可欠です。この次世代モビリティ向け半導体性能を達成するために新しい半導体技術の創出が望まれています。そのため、低消費電力性能と耐環境性能等に優れたスピントロニクス省電力半導体に大きな期待が寄せられています。
エネルギー効率の高いAIコンピューティングやデータセンター等
今後のICTやAIの発展に伴い、更に大量のデータをもっと高速に演算する必要があるため、エッジAIコンピューティングや大規模AI処理を含むデータセンターでの消費電力の増大が世界的課題となっています。カーボンニュートラルの実現に向けて、革新的に電力効率の高いエッジAIデバイスやデータセンター等の実現に向けて、AI処理に適した低消費電力且つ大容量なスピントロニクス省電力半導体に大きな期待が寄せられています。
宇宙・成層圏を活用した次世代通信インフラ・高度情報サービス
スピントロニクス省電力半導体は、磁石(スピン)の向きで“0” 、“1”を記憶するため、太陽光フレア等の高エネルギー粒子が飛び交っている宇宙・成層圏での安定動作性に優れている特徴を有しています。加えて、宇宙・成層圏はエネルギー供給に大きな制限がある環境です。今後需要が拡大するHAPS(高高度プラットフォーム)やLEO(低軌道衛星)などの宇宙・成層圏産業の実現に向けて、低消費電力且つ高エネルギー粒子耐性に優れたスピントロニクス省電力半導体に大きな期待が寄せられています。